宮之原警部（鹿賀丈史）は出張を終えた足で長女・津玻沙（つばさ）（小林千香子）の嫁いだ長野に向った。日頃、苦労をかけている妻・真由子（原日出子）へのささやかな罪滅ぼしも兼ね、夫婦水入らずで小旅行をするつもりなのだ。だが、津玻沙の家で合流するはずの真由子は現れず、代わりに奇妙な電話がかかってきた。見知らぬ女からで、真由子を誘拐したというのだ。代わりに電話に出た真由子も「営利誘拐だけど２、３日したら無事に帰れる。全ては不運な偶然」と平静な口ぶりだ。宮之原たちに恨みはなく、要求もなく、真由子に危害を与えるつもりもない。そう言い切る犯人の目的はいったいどこにあるのか。急きょ東京の自宅へ戻った宮之原の元に、塩辛声の男から誘拐の事実を確かめる電話が入った。男は真由子の身代金を要求された事を告げ、名前も名乗らないまま一方的に受話器を置いた。その日のうちに、宮之原の自宅に小金井中央署の捜査員が詰め掛け、逆探知を設置。叩き上げの鷲尾署長（綿引勝彦）は塩辛声の男を真由子の愛人と断定し、宮之原に捜査権はないと無断行動を禁じた。だが、宮之原は密かに警察庁長官官房秘書の小清水警視（伊藤かずえ）とコンタクトを取り、長官お墨付きの単独捜査権を手に入れた。真由子の言う「不運な偶然」とは何なのか。宮之原はわずかな可能性を求め真由子の交友関係を細大漏らさず調査。そんな中、真由子が骨髄バングにドナー登録をしていた事が判明。命を救う無償のボランティア。その時、宮之原の脳裏にある道筋が閃いた…。　

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