松本清張スペシャル「指」

後藤真希 高岡早紀 星野真里 萬田久子 西村和彦 石田純一 高畑淳子 北原佐和子

 都内の高級住宅地でペットの犬を狙った殺害事件が多発する中、ワイドショーリポーター・鈴木香織(星野真里)は、犯人逮捕に協力して仕事を増やそうと、カメラを抱えてオトリ作戦を敢行。真犯人にはたどり着けなかったものの、なんと若手人気女優・福江弓子(後藤真希)が死んだ愛犬のチワワを遺棄する場面を目撃した。だが、マイクを握り締めてリポートする香織に対し、弓子は自分も連続愛犬殺害事件の被害者だと反論。香織は、責任を取らされる形で、番組を降ろされることが確実になった。

 そんな香織が、芸能人の半生をインタビュー構成で紹介する番組のディレクター・安田明(西村和彦)に声を掛けられ、弓子のことを聞かれた。長時間のインタビューを行ったという安田の話によると、弓子の半生は謎だらけだというのだ。弓子が愛犬を自らの手で殺したとにらむ香織は、その過去に興味を抱き、安田が撮影したインタビューの素材テープの検証を開始した。
 インタビューの内容によると、3年前、小劇団の女優だった弓子は、同じ劇団のトップ女優・北岡美穂(高岡早紀)の紹介で、レズビアンが集まるバーでアルバイト。仕事が合わずに店を辞めたもののすぐに生活に窮した弓子は、たまたま知り合った一人暮らしの社長夫人のマンションで居候を始めた。そして、ある舞台で主役に抜擢された弓子は、その演技が現在の夫である映画監督・三枝公明(石田純一)の目に留まり、後はとんとん拍子でスターへの階段を上っていった。
 だが、その女性パトロンの正体を確かめるために、問題のバーを訪ねてママの玲に会った香織は、下積みの弓子が味わった苦い経験と驚きの事実を知った。女パトロンというのは、店の常連客の生方恒子(萬田久子)。弓子に死ぬほど入れ込んだ恒子は、愛されたのが自分ではなく自分の財産だったと気付き、絶望して自殺。さらに、女優のかたわらバーを始めた美穂は、半年ほど前に殺されていたのだ。

 報道によると、美穂の遺体のそばには、やはり首を絞められた愛犬らしいチワワの死体があり、現場の状況、隣室の住人の証言などから、犯人が美穂と親しい関係にあった可能性が高いことが分かった。恒子もチワワを飼っていたという玲の話を思い出した香織は、犯人が弓子だと推理。美穂の遺体のそばで死んでいたチワワが、恒子の愛犬だったのではないかとにらんだ。

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