向井稔（金山一彦）という青年が、妹をレイプした男を殺したと自首してきた。結婚を間近に控えた向井の妹・美奈（浅川稚広）が、石田（浅見小四郎）という借金取りにレイプされ、それを目撃した向井は、激情のあまり石田を庖丁で刺殺してしまったのだ。向井の取調べ中に美奈は自殺し、失意の中、向井は刑に服する。この事件の取り調べにあたったのが警視庁捜査一課の杉本（三浦友和）で、刑が確定したあとも何かと向井のことを気にかけていた。
やがて、刑を終えた向井は、杉本に礼を述べて郷里の大津に帰っていった。そして１年後、杉本のもとに、結婚式に出席してほしいという向井からの手紙が届く。式場のある大津に向かった杉本は、向井の妻となった美沙子（山本未來）や、向井の高校時代からの友人・南（湯江健幸）、新庄（志村東吾）、林田（井之上チャル）を紹介される。友人たちは向井の高校時代のボート部の仲間で、美沙子も新庄夫人の夕子（中島ひろ子）もボート部のマネジャーという間柄だった。
式の翌日、杉本はテレビのニュースで向井が死亡したことを知る。向井は、地元の建設会社の社長・中島（香川耕二）を殺して自殺したというのだ。所轄署によると、向井の妻・美沙子は中島の会社に勤めていて、中島と不倫の関係にあるとウワサされていたという。そしてそのことで、向井と中島は揉めていたというのだ。
さらに、友人たちの話では、前夜二次会のあと向井は約束があると三次会の誘いを断って先に帰ったという。また美沙子は、二次会の途中で気分が悪くなったと退席したということだった。
杉本には、自分の結婚式の直後に向井が人を殺すなどとはとても信じられなかったが…。
