里見浩太朗芸能生活50周年 特別企画

夜盗

里見浩太朗 高島礼子 平賀雅臣 寺門ジモン 大和田獏 錦織健 原日出子 照英 中村梅雀 泉ピン子

逗葉警察署の刑事、柏田源吉(里見浩太朗)は10ヵ月後に定年を迎える。同僚の植木(西岡徳馬)たちは柏田の退職を惜しんでいた。柏田は妻とは十年以上前に死別しており、最近十三回忌の法事を妻の妹・静江(原日出子)と共に済ませたばかりだ。
 ある夜、逗葉警察管轄内の外国人宅で窃盗事件が発生した。英語が得意な柏田も通訳代わりに現場に向う。盗られたのは現金と指輪だけで、けが人はいない。手掛かりは、現場に残った犯人の足跡だ。柏田は侵入手口を見て、30年前、これに酷似した事件を捜査したことを思い出した。
 そんな事件のあった次の日曜日、柏田は子供の洋服などのプレゼントを持って養護施設「マリアの家」を訪ねる。柏田を大喜びで迎える子供たち。みんな親とは一緒に暮らせないそれぞれの事情があったが、施設の代表は衣笠マリア(高島礼子)に愛情たっぷりに育てられていた。
 柏田とマリアは二人とも親がいない。二人は子供の頃、同じ養護施設で兄妹のように暮らしたことがあった。ところがマリアは15歳の時、施設を飛び出し、ずっと行方が分からなかった。二人が再開したのは今から五年前だ。マリアが養護施設を営んでいることを知り柏田は驚いたが、それ以来、柏田は時々子供たちにプレゼント持って「マリアの家」を訪れていた。そんなことを繰り返すうちに二人には、男と女の愛情が芽生えていた。柏田はマリアにプロポーズする。だが、マリアはその気持ちには応えられないと、申し訳なさそうに返事をする。
 戸惑う柏田をマリアは教会へ連れてゆく。そこでは盲目の讃美歌歌手・東出洋(錦織健)が清らかな歌声を響かせていた。マリアは洋の生活費を負担していた。
マリアは自分の過去を語り始める。15歳の時、友達と共にアメリカの兵隊にレイプされ妊娠した。失望し、行く当ての無いマリアは、バー「パラダイス」のママ・美沙子(泉ピン子)と知り合う。マリアは美沙子に勧められるままに堕胎。その後は米兵に体を売って生活した。洋はマリアと共にレイプされた千鶴(柳澤伶弥)が産んだ子供だ。
 その間、窃盗事件の捜査は進展がなかったが、再び外国人宅を狙った事件が発生し、有力な手掛かりが見えてきた。手口は前回と同じ。犯行にはバイクが使われていた。現場の足跡から靴を作った工場が特定された。工場長(中村梅雀)は、靴はマリアがいた養護施設に寄付されたと証言する。
 30年前に柏田が作った調書が再検討される。マリアが犯人か? だとするとマリアが金を必要とした理由は何か? 洋が高額の目の手術を受けていたことも分かる…柏田には疑惑が広がる。不安を打ち消すように二人は求め合い、柏田とマリアは結ばれる。
 柏田と山下刑事(小泉孝太郎)が「マリアの家」を張り込んだ。二人の前をバイクが疾走する。柏田はわなを仕掛けて犯人を待ち伏せる。そこに現われたのは誰か? 犯人の動機と真の狙いとは?

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