“他人とかかわること”の難しさと 大切さ。
山田太一が描く日本人の孤独と希望
「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」など数々の名作を世に送り出してきた名脚本家・山田太一が、演出・プロデュースの山本恵三とコンビを組んでお送りする、秋の季節にふさわしい大人のドラマ。このコンビは2001年に「再会」で芸術祭優秀賞と民放連盟賞優秀賞、2002年には「旅の途中で」で民放連盟賞優秀賞を受賞している。この作品は、人と人とのかかわりの希薄さを背景に、それぞれの世代が抱えるそれぞれの孤独を山田太一が、吟味されたセリフを効かせ丁寧に描く、いわば最終章。孤独ながらも心温かくそしてどこか男くささも残した主人公・恒平を演じるのは名優・緒形拳。そして悲しみを抱えた美しい女性・百合を演じるのは鶴田真由。若い男に内田朝陽。知り合うこと、かかわりをもつこと、そして他人を思いやる想像力こそが、希望への足がかりになる。めざましい経済的発展を遂げた裏で日本人が失ったもの、現代の日本人の幸せの行方を探る物語。