横溝正史ミステリー 金田一耕助ファイルII

獄門島

上川隆也 高島礼子 中村梅雀、神山繁、原田貴和子、寺田農、鶴田忍、金田明夫、三倉茉奈、三倉佳奈

1946年、春…私立探偵・金田一耕助(上川隆也)は、復員船の中で死亡した戦友・鬼頭千万太(きとうちまた)に託された手紙とある遺言を胸に、江戸時代300年を通じて流刑の地とされてきた瀬戸内海の孤島・獄門島へやって来た。千万太は、島の網元である鬼頭家の本家(本鬼頭)出身で、千万太の戦死を報せに訪れた金田一は、そこで千万太の従姉・鬼頭早苗(高島礼子)と出会う。家には千万太の三つ子の妹である花子・雪枝・月代という美しくもどこか尋常でない三姉妹と、先代・嘉右衛門亡き後当主を継いだ与三松がいたが、与三松は離れの座敷牢で病に伏せており、出入りは早苗しか許されていなかった。また早苗の弟・一(ひとし)も出征していたが、先日、半月後に帰還すると戦友から朗報を受けたばかりだった。金田一は仙光寺の了然和尚(神山繁)、村長・荒木真喜平(鶴田忍)、医者・村瀬幸庵(寺田農)と連名された千万太の手紙を当人たちに手渡した。仙光寺にしばらく滞在することになった金田一は、本鬼頭の分家・分鬼頭(わけきとう)に、了然の使いで今夜、千万太の通夜が行われることを伝えに行く。本鬼頭と仲の悪い分鬼頭には、当主・儀兵衛とその妻・志保(原田貴和子)、そして志保と常に行動を共にしている居候の復員兵・鵜飼がいた。その夜、千万太の通夜の席で花子の姿がみえなくなる。捜索を始めた矢先、仙光寺の梅の古木に帯で逆さ吊りにされた花子の死体が発見される。首には絞められた痕と後頭部には殴打の痕もあった。雨が降り始める中、金田一は了然に連れられて庫裏に行き、そこでコウモリ形をした兵隊靴の足跡を見つける。さらに境内では、英語の字引きで巻いてある煙草の吸殻数本が見つかった。了然は、その煙草は早苗が与三松のために巻いたものだと告げる。

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